昨年11月に三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド内くじらの大屋根広場で開催された「芝生の上でヨガをしよう!」。広い芝生の上で、朝の空気を感じながら伸び伸びとヨガを楽しむ、素敵なイベントでした。今回お話を聞いたのは、この企画を主宰したkanacoさん。自身の提唱するウェルネスヨガの普及を目指して、ヨガ講師、パーソナルトレーナーとして活動しています。
kanacoさんがヨガと出会ったのは、15年ほど前のこと。ニューヨーク滞在中、グループレッスンを体験したのが最初でした。本格的に始めたのは帰国後、しばらくしてから。日本で出会った先生から「ヨガの本質を残しつつも、その日の自分の状態に合わせてレッスンを進めていくスタイル」の指導を受け、それに共感、これは続けてみようと思ったそう。その後、自ら解剖学を学び、ヨガの知識を深めていきます。ある時、友人が「ヨガを教えて欲しい」と言ったことをきっかけに、指導の道に進むことになりました。
「当初、ビジネスにしようというつもりは全くありませんでした。しばらくは友人と二人でヨガを楽しんでいたのですが、姿勢を確認するために鏡が必要だね、という話になり、それならスタジオ的な場所を借りよう、他の人も呼んでレンタル料をシェアしよう、人を募集するにはチラシも必要だね……と、どんどん活動が広がっていきました」
かつては舞台関係の仕事に携わり、バレエやダンスなどを学んだ経験もありました。体づくりには以前から関心があり、ヨガもその一環として始めたのです。2012年にはさらに活動の場を広げ、ウェルネスライフをテーマに幅広く、様々な人達が集まれる場として「otonomori(オトノモリ)」を設立。ワークショップや屋外イベントなどを主宰するようになりました。
「以前は何かを表現することで誰かに認めてもらいたい、という思いが強かったのかもしれません。それがヨガと出会ったことで、認めてもらう必要はない、自分自身のベストを知ればそれでいいんだ、と考えが変わりました」
kanacoさんのレッスンでは、このポーズはこの形にしないといけない、という教え方をしません。自分自身の体の在り様を把握し、呼吸を整えながら、ゆっくりと調整していく感覚です。何かを達成することや成功を目的とするのではなく、自分にとって必要なものが何かを感じること、継続的に豊かな人生を送ることを目指しています。昔から型に沿って学ぶことが好きではなかったそう。
「子どもの頃、ピアノを習っていたときに楽譜をこう弾かなければいけない、と決められてしまうのが、とても窮屈でした。私はこう弾きたいのに! という思いがいつもあった。
そのため、私がヨガやパーソナルトレーニングで人に教えるときにも、全員同じではなく、それぞれの個性を大切にしています。たとえば『この人は体が後ろに反っているな』と感じたら、息を吐く行程を重視してもらい、腹筋を鍛えるトレーニングをお勧めするなど。参加者に寄り添った指導を心掛けています」
お子様との生活を優先し、無理のないペースでレッスンを開催。固定のスタジオはもたず、レッスンごとにシェアスペースを借りて活動しているkanacoさん(現在はオンラインでの少人数制レッスンが中心)。自然体でいることが自身をより美しく、人生をより豊かにすることを自ら体現されているようでした。
撮影協力/BUKATSUDO