今回は、三井アウトレットパーク 横浜ベイサイドの程近くにあり、横浜市唯一の海水浴場がある公園、「海の公園」を愛している人のお話です。
「海の公園は埋立事業の一環として整備された公園です。海水浴場もそのときに作られたものですが、今ではカニやアサリなどたくさんの生物が棲み、独自の生態系を作っているんですよ」
そう語るのは「金沢臨海サービス」事業開発室 室長の座間吉成さん。「金沢臨海サービス」は、公園管理や緑化・造園、建物のメンテナンスや清掃、廃棄物処理などの業務を総合的に請け負っている会社です。
座間さんが現在の会社に入ったのは約6年前。教職に就いていましたが、「地元で働きたい、地域の人とより深く関わる仕事がしたい」という思いが強くなり、心機一転、転職したそう。ただ、この会社との付き合い自体はかなり長いのだとか。
「学生時代にライフセーバーのアルバイトを始めたことがきっかけで、海の公園、現在の会社との関わりが始まりました。もう35年になりますね。もともと競泳をしていましたが、速く泳ぐための技術が人を救うために役立つことを知り、ライフセービングに興味を持ちました」
体育教師として、学生たちにライフセービングを教えていたこともあるそうです。実は海の公園でのライフガード(海岸の監視)も、「金沢臨海サービス」が受け持っている業務のひとつ。ライフセービングを活性化したい、という思いも、転職した理由でした。
座間さんは今、海のある環境を活かして、公園をより魅力的な場所にするための事業に取り組んでいます。海の公園で行われるSUP(=スタンドアップパドルボード。水上でボードの上に立ち、パドルで漕ぐスポーツ)大会の運営にも携わってきました。実は海岸だけでなく、沖合250mまでの海上も、公園の一部なのです。海の公園湾内は波が小さく、海況が安定しているため、SUPやウインドサーフィンをして遊ぶのにピッタリとのこと。
「身近な環境で潮干狩りや、マリンスポーツを楽しめるのは、海の公園がもつ大きな魅力です。さらに、ここで暮らす生物について知ると、海遊びがもっと楽しくなりますよ」
潮干狩りの収穫物として知られるアサリは、海水を浄化するのに役立っているそう。また海中に茂っているアマモという海草は、大気中のCO2を吸収し、固定して「ブルーカーボン(海洋生態系によって蓄積された炭素のこと)」にする働きがあるそうです。
「海洋生物に詳しくなると、海がより身近に感じられます。子供達や学生達を対象に、そうした学びが得られるイベントも今後、積極的に展開していきたいですね」
身近にありながら自然を感じられる場所。自然環境を通して学べる場所。座間さんは、海の公園をそんな存在にしていきたい、という思いを抱いているのでした。