自称「地域活動家」として、自分が生まれ育った地域を盛り上げている二見さん。
東京で働きながら、公園愛護会のスタッフ、地元の夏祭り「サマーフェスタ」の司会、金沢文庫芸術祭の広報&ボランティアスタッフ対応など、ありとあらゆる地域活動に参加し、精力的に活躍しています。
以前は、職場に近い東京都内に暮らしていました。故郷の友人に誘われ、10年ぶりに地域の夏祭りに参加したことが人生の転機となったそうです。
「久しぶりに地元の祭を覗いてみると、出店数はかつての半分ほどで、人影もまばら。何よりも子どもの姿が少なくなっていたことに衝撃を受けました。私が子どもの頃はあんなに賑わっていたのに、その面影がまったくなかったのです。これは何とかしなければ、と奮い立ち、金沢区に戻ることを決心しました」
しかし、地元を離れていた人がいきなり祭運営に参加しようと思っても、認められるはずもありません。そこでまずは、夏祭りの会場となる公園の愛護会に参加。ゴミ拾いなどの地道な活動を続けることで顔を売ろう、という作戦です。ちょうど公園愛護会を新たに立ち上げよう、という絶妙なタイミングでした。
「地元企業や大学、行政の人が集い、エリアマネジメントについて話し合う場で『この地域は今、魅力的でない。私は魅力を作るために来たのです』とはっきり進言しました。これまで地域活動を続けてきた人たちを前にして失礼なのは承知の上でしたが、誰かが指摘しなければ現状は変わらないと思ったからです」
人を呼び寄せる街にするには新たな仕組み作りが必要だという信念からの発言です。そうした実直な姿勢には、地域を愛する人に響くものがあったのでしょう。むしろ好意的に受け入れてもらえた……と言います。公園愛護会から始めた地道な活動が評価され、夏祭りメインステージの司会者にも抜擢。若い頃はバンド活動に勤しんでいたというだけあり、ステージでのマイクパフォーマンスは得意、サマーフェスタの名物となりました。
ひとつの場所にとどまることなく、様々な場に出かけては地域活動を続ける二見さん。小学校の教壇で自身が携わっている地域活動について話し、地域への関心をもってもらう取り組みも行っています。
「みんな地元を愛しているからこそ悩んでいることがある。でも状況をふと俯瞰してみると、まだ出会っていない人どうしをつなげてあげることで、解決の糸口が見えたりしますよね。地元を離れていた時間があったからこそ気が付いたことかもしれません」と語ります。会社員も自営業者も、大人も、子どもも、誰もが地域づくりに貢献できる……。二見さんの活動を伺い、そんな社会の在り方が目に浮かびました。