キレイに、カッコ良く見られたい、あるいは外見も自分らしくありたい……と人は誰しも思うもの。美容師という職業は、人々のそうした希望を叶える仕事です。ですが、竹内 崇さんは外見を美しく整えるだけでなく、内面もハッピーにしてあげるのが、美容師に与えられた役割だと言います。
MOPSは横浜市金沢区で6店舗を展開する人気の美容室。竹内さんは金沢文庫店で活躍するエグゼクティブスタイリスト兼取締役営業部長です。美容師になったきっかけは、若かりし日に見たテレビドラマだったそう。これまで美容師としてのテクニックを磨きながら、経営についても積極的に学び、現在のポジションに就きました。
「そのお客様がどんな自分でありたいと思っているか? 何気ない会話の中からニーズをしっかりと汲み取ることが大切です。カットやスタイリングの技術を身に付けることは、希望を実現するための手段。現場に立つときはいつも、お客様とのコミュニケーションを第一に考えています」と語る竹内さん。人に喜んでもらうことが美容師の使命……そう強く感じるようになったのは、10年前に発生した東日本大震災がきっかけだったとか。
「避難生活が長く続いている人たちの姿をメディアで見て、自分にも何かできることはないか、と考えました。美容師は髪を切るのが仕事です。会社の仲間とともに現地にボランティア活動へと出かけ、避難している人たちの髪をカットしてさしあげたり、家屋に流れ込んだ土砂を排除したりするのを手伝いました。そのとき、『久しぶりに髪を切ってもらって、気持ちまでリフレッシュできた』という被災した方からの声を聞き、自分がこの仕事をしている意味を見出しました」と当時の思いを振り返ります。
現在はスタイリストとして現場に立つだけでなく、イベントを企画したり、会社の経営状況を分析したりする役割も担っている彼。これからの美容室は店舗を構えて待っているだけではなく、積極的に外へと出かけて新たなお客様にアプローチする姿勢が求められるようになる……と感じているそう。
「当社では今、訪問美容という新しいスタイルを企画し、プロジェクトを練っています。移動美容車でイベントなどに出向き、現地でカットしたりするのも面白そうですね」
社会の中で美容師が果たせる役割をもう一度見直し、今の若い人たちが「美容師になりたい!」と思ってくれる環境を作りたい……と夢を語ってくれました。