ヒト・モノ・コト

山口壮一さん

/COOK&DINE HAYAMA代表

山口壮一さん

/COOK&DINE HAYAMA代表

三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド Bブロックの一角にモノトーンでまとめられたオシャレな店舗があります。こちらは葉山に本店のあるキッチンブランド「COOK&DINE HAYAMA(クックアンドダイン ハヤマ)」の2号店。代表兼店長の山口壮一さんは“鉄鍋伝道師”の異名を持つ人物で、店舗の運営やワークショップなどを通じ、鉄フライパンやダッチオーブンといった鉄製調理道具の魅力を世に伝えています。なぜ“鉄”にこだわるようになったのか、鉄製調理器具の魅力とは何なのか、山口さんに聞きました。

「もともと私は大手百貨店に勤める普通のサラリーマンだったんです。あるとき、百貨店の一角で人気グルメ誌とタイアップしたショップを企画することになり、そこでダッチオーブンを扱うことになりました。しかし当時の私は『鍋なのになぜオーブン?』と疑問に思うほど鉄鍋に関する知識がなく、料理も食べる専門。そこで日本におけるダッチオーブンの第一人者である菊池仁志さんという方をショップに招いてイベントを開催したところ、私自身が改めてダッチオーブンの魅力、奥深さを知ることになりました」

ダッチオーブンはキャンプなどでよく使われる調理道具で、下から熱するだけでなく蓋の上に炭をのせて天火加熱できるのが特徴です。それまでほとんど料理未経験だった山口さんでも、ダッチオーブンの中に材料を入れて加熱するだけで、美味しい料理が作れることに感動! その体験がきっかけとなって鉄鍋だけでなく、鉄フライパンなど鉄製調理道具の魅力にすっかりはまったそうです。

鉄鍋との出会いを経て食の素晴らしさ、料理の楽しさに目覚めた山口さん。その感動をより多くの人に伝えるため、独立起業を決意します。サラリーマン時代に当時黎明期だったECサイトでの販売を担当した経験を活かし、ネットショップ「三浦半島まるかじりクック&ダイン」を立ち上げました。すると「その日の朝に水揚げされたばかりの魚をパッケージして出荷する」という斬新な企画がテレビ番組に採り上げられ、大人気に。かねてからの念願だった実店舗を葉山でオープンしました。

「起業当初はオンラインのみでの展開でしたが、百貨店に勤めていたときから接客が好きで、もう一度、人と直接関わる仕事をしてみたい、という思いがずっとありました」と当時の心境を語ります。実店舗はオリジナルの鉄フライパン、ダッチオーブン、スキレットなどがずらりと並ぶ、さながら鉄製調理道具の聖地。そこで開催される「手作りベーコン講座」などのワークショップも大人気となりました。今年4月には葉山本店、横浜ベイサイド店に続く3号店が名古屋にオープン。ますます精力的に“鉄”の魅力を発信しています。

ちなみに目下、「COOK&DINE HAYAMA」で鉄フライパンなどと並ぶ主力商品となっているのは、南部鉄瓶。岩手県で江戸時代から受け継がれてきた伝統工芸品です。山口さんによると、鉄瓶で沸かした白湯はまろやかな味わいで美味しく、それだけで体に必要な鉄分も十分に補給できるのだとか。横浜ベイサイド店でも壁一面に陳列された、豊富な種類の鉄瓶を見ることができます。

鉄鍋と出会って20余年。好きが高じて……という言葉がありますが、一貫して鉄製調理道具の素晴らしさを発信し続ける山口さんの姿勢や言葉には、それ以上の重みが感じられました。

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