キャンピングカーで移動しながら各地のアクティビティを体験、現地の人たちと出会いながら日本中を、世界中を旅する……。そんな生活、誰しも憧れますよね。でもふと現実に目を向けると、キャンピングカーを購入するのも、維持するのも大変。そもそも、たまにしか出かけられる機会がない。でも、使いたいときだけ借りられるとしたら、どうでしょう? 今回は横浜市金沢区を拠点に、キャンピングカーのレンタル事業を新たに始めた「HAJICAM(ハジキャン)」を紹介します。
「最初は自分自身がプライベートで使うために、キャンピングカーを購入しようと思っていたんですよ。でも冷静に考えてみると、キャンピングカーに乗れる距離、使える時間は限られていて、せっかく買っても宝の持ち腐れになってしまいかねない。それなら、誰かに貸して、この楽しさをシェアしたらどうか? と考え、キャンピングカーのレンタルサービスを始めました」
そう語るのは、HAJICAMを運営する佐賀工業・代表の中島太一さん。佐賀工業は中島さんのお祖父様が創業した、造船工事業を専門とする会社です。コロナ禍においても造船工事の事業は安定していましたが、中島さんは、安定した状況に胡座をかいていては経営者として一流とはいえない、何か新しいことにチャレンジしたい! という気持ちを以前から抱いていたと言います。そんなときに出会ったのがキャンピングカーでした。新たな事業を始めるにあたり、会社でレンタカー事業の許可も取得しました。
導入したのは、伊フィアット社の車両をベースとし、Dethleffs(デスレフ)という会社がモーターホームに架装したモーターホームです。外観はキャンピングカーのイメージを覆すスタイリッシュさ。間近に見るとなかなかの迫力で、「日本のキャンプ場に安心してアクセスできる、ぎりぎり大きいサイズ」とのこと。さっそく室内にお邪魔してみると、そこには外観から想像した以上に広大な空間が広がっていました。応接間のようなテーブルセットとキッチン、シャワーやトイレ、冷蔵庫も完備されています。
ベッドを展開するのも電動で楽チン。大人4人がゆったり就寝できるスペースがあります。この車種を選んだのは、国産トラックベースのキャンピングカーにはない乗り心地の良さとラグジュアリーな内装に惹かれてのこと。エアコンや床暖房まで備わっており、まるで高級ワンルームにいるようです。
「雨の日も雪の日も、いつでも快適に、手軽にアウトドアへと出かけられるのがキャンピングカーの魅力です。ボディサイドには大きなオーニング(タープのようなもの)が付いているので、バーベキューするのも楽。この快適さを知ってしまうと、テントを張ったり、狭い車内に車中泊したりするのが面倒になってしまいます」と中島さん。ところでこのボディサイズ、初めての人がレンタカーを借りて、いきなり運転しても大丈夫?
「当社では車両をお貸し出しする前に、駐車場で練習していただけます。それにドアミラーが大きく、左右後方にはカメラも付いているので、意外なほど運転に苦労しません」とのことです。
現在2台が稼働しており、利用者からは好評をいただいているそう。スキーやスノボ、キャンプなどアウトドアを趣味にする人はもちろん、プロゴルファーやテレビ・ロケスタッフの移動手段としても利用されています。仕事をリタイアされたご夫婦が日本全国を巡るため、長期にわたってレンタルされたことも。多様な趣味、環境に応じて“カメレオン”的に適応できるのも、キャンピングカーの魅力のひとつだと中島さんは語ります。
「キャンピングカーと出会ってからというもの、趣味の世界、人とのつながりがアップデートするのを私自身が日々実感しています。先日も仲間と一緒に、人生で初めてダイビングに挑戦したんですよ」と中島さん。キャンプ場と提携したり、焼肉店とコラボして食材をセットにしたりするなど、新たなサービスも続々追加中です。利用料金は24時間50,000円〜。憧れを実現するタイミングは、もしかしたら今なのかもしれません。